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アイテム
植食性昆虫ミバエ類における寄主利用決定要因の解明
https://doi.org/10.24795/0002000660
https://doi.org/10.24795/0002000660181c6c85-cf6d-4bef-8663-ef032960958e
名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
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審査結果 (150 KB)
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要旨 (96 KB)
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全文 (8.7 MB)
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Item type | 学位論文 / Thesis or Dissertati(1) | |||||||
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公開日 | 2024-10-18 | |||||||
タイトル | ||||||||
タイトル | 植食性昆虫ミバエ類における寄主利用決定要因の解明 | |||||||
言語 | ja | |||||||
その他のタイトル | ||||||||
その他のタイトル | Determinants of host utilization in tephritid fruit flies(Diptera: Tephritidae) | |||||||
言語 | en | |||||||
言語 | ||||||||
言語 | jpn | |||||||
資源タイプ | ||||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_db06 | |||||||
資源タイプ | doctoral thesis | |||||||
ID登録 | ||||||||
ID登録 | 10.24795/0002000660 | |||||||
ID登録タイプ | JaLC | |||||||
著者 |
久岡, 知輝
× 久岡, 知輝
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学位名 | ||||||||
言語 | ja | |||||||
学位名 | 博士(環境科学) | |||||||
学位授与機関 | ||||||||
言語 | ja | |||||||
学位授与機関名 | 滋賀県立大学 | |||||||
学位授与年月日 | ||||||||
学位授与年月日 | 2023-09-28 | |||||||
学位授与番号 | ||||||||
学位授与番号 | 乙第35号 | |||||||
内容記述 | ||||||||
内容記述タイプ | Other | |||||||
内容記述 | 環論第16号 | |||||||
言語 | ja | |||||||
内容記述 | ||||||||
内容記述タイプ | Abstract | |||||||
内容記述 | 植食性昆虫のほとんどの種は1種もしくは少数の近縁な植物のみを餌、すなわち寄主とするスペシャリストである。野外では植物種が膨大に存在しているにも関わらず、なぜ植食性昆虫は特定の寄主植物しか利用しないのか、その寄主利用がどう決まっているのかと いう問いは生態学的、・進化学的な大きな謎となってきた。そこで、本研究では植食性昆虫の寄主植物利用を解明する上でミバエに着目した。ミバエは双翅目ミバ工科に属する昆虫の総称であり、東南アジアや太平洋地域を中心に広く分布している。ミバエは植食性昆虫の中でも特にジェネラリストが多いグループであり、40%近い種が2つ以上の科の植物を利用するとされている。 本研究では、ミバエの中でも種間で寄主植物利用の異なることが報告されているミカンコミバエBactrocera dorsalisとその近縁種Bactrocera carambolae、および種内で寄主植物利用が異なることが指摘されているナスミバエBactrocera latifronsを対象とした。これら3種のミバエに関する研究を全8章にまとめ、ミバエの寄主利用決定要因を解明することを試みた。 第1章では、植食性昆虫の寄主利用を説明する主要な4つの仮説(昆虫と植物の共進化(軍拡競走)説、天敵回避説、資源競争説、繁殖干渉説)を提示し、それらの研究について論じた。また、対象生物であるミバエの生態や過去の研究についても併せて論じ、本研究の目的、意義などを述べた。 第2章からは、B.carambolaeとB.dorsalis対象として研究をおこなった。B.dorsalisがマンゴーを、B.carambolaeはスターフルーツを主要寄主とすることが報告されている。本章では、まずインドネシア・ジャワ島でB.carambolaeとB.dorsalisの天敵である寄生蜂を調 した。さらに、既存研究で報告された幼虫の発育パフォーマンスを組み込んで、総合的な果実の質を求めた。これらの結果から、マンゴーは寄生蜂からの寄生圧が低く、発育パフォーマンスも高い好適な寄主植物であることが示された。しかし、この傾向は2種ミバエで共通していることから、それらの寄主植物利用は軍拡競走説や天敵回避説では説明できなかった。 第3章では資源競争説を検討した。同一果実上でB.carambolaeとB.dorsalisの幼虫を飼育し、その発育の比較、幼虫間闘争の検証をおこなった。その結果、幼虫間の資源をめぐる競争は緩やかなものであり、B.carambolaeがやや優位であるなど、好適な寄主植物であ るマンゴーをB.dorsalisが独占している野外の状況を説明できないことが示された。 第4章では、B.carambolaeとB.dorsalisとの間にはたらく繁殖干渉を検証した。その結果、繁殖干渉においてB.dorsalisが優位であり、その効果はB.carambolaeの繁殖をほぼ完全に抑制しうるほど強いことが示された。第2章からの検討の結果、B.carambolaeとB.dorsalis の寄主利用パターンは、軍拡競走説、天敵回避説、資源競争説のいずれでも説明できないが、繁殖干渉説を組み込むことでうまく説明できることが分かった。 第5章からは、B.latifronsを対象として研究をおこなった。これまでに、与那国島ではじめに発見された個体群(与那国個体群)と沖縄島で発見された個体群(沖縄個体群)では寄主植物利用が異なることが示唆されていた。本章では、複数の寄主植物に対する産卵選 好性を定量的に評価した。その結果、この2個体群の寄主選好性は明確に異なることが明らかになった。 第6章では、寄主植物利用が異なる2個体群が別の系統であるかを、遺伝学的な観点から検証した。沖縄県のほぼ全域で採集されたB.latifronsの標本を対象として、ミトコンドリア・核遺伝子の一部の配列を決定し、分子系統解析をおこなった。その結果、2個体群は異なるハプロタイプをもつことが支持され、沖縄個体群の配列は、イタリア、マレーシアで報告されたものに類似することが示された。 第7章では、B.latifronsの与那国、沖縄両個体群の配偶行動を観察し、個体群間での行動の違いや個体群間での相互作用を定量的に評価した。その結果、2個体群間には性的相互作用が存在し、その相互作用は非対称であることが示された。すなわち、両個体群のオスはいずれの個体群のメスにも求愛するが、沖縄個体群のオスとの交尾は両個体群のメスの産卵数を減少させる傾向があった。このことから、この2個体群間には種内における繁殖干渉のような現象が存在することが示唆された。 第8章では、前章までに得られたすべての結果を総合的に考察した。ミバエ類では寄主選択に加えて、競争排除や資源分割、側所分布などが数多く観測されている。これらの現象については様々な観点から個別に検討されてきたが、メカニズムの解明には至っていな かった。本研究で得られた知見にもとづき、植食性昆虫ミバエの寄主利用や分布拡大は、繁殖干渉が鍵要因となり他の要因と相乗的に働くことで、統一的に説明されることを議論した。また、併せてこのメカニズムを応用したミバエ防除法についても議論した。 |
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言語 | ja | |||||||
著者版フラグ | ||||||||
出版タイプ | VoR | |||||||
出版タイプResource | http://purl.org/coar/version/c_970fb48d4fbd8a85 | |||||||
アクセス権 | ||||||||
アクセス権 | open access | |||||||
アクセス権URI | http://purl.org/coar/access_right/c_abf2 | |||||||
書誌情報 |
p. 1 |